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ソード14枚に描かれた「思考」の物語|エースから10、そして4人のコートカード

執筆者の写真: 保戸砥 和
保戸砥 和
9月21日
読了時間: 18分

更新日:9月23日

「考える」ことから始まる、ソードの物語


この記事では、ウェイト=スミス版タロットに描かれたソードの14枚を、絵柄を眺めながら読み解いていきます。

タロット78枚のうち、小アルカナと呼ばれる56枚には、ワンド、カップ、ソード、ペンタクルという4つのスートがあります。 ソードは、ウェイト自身が明記したものではありませんが、彼も所属していた黄金の夜明け団の体系では「風」の元素と結びつけられ、現在では思考や知性、判断、言葉などを表すスートとして広く読まれています。

剣は、ものを切り分ける道具です。 何が必要で、何が必要ではないのか。どちらを選び、どちらを選ばないのか。何を正しいと考え、どのような言葉でそれを伝えるのか。

私たちが考え、判断することにも、どこか「切り分ける」ような働きがあります。

ウェイト=スミス版のソードをエースから10まで順番に並べると、そんな思考の力が、さまざまな姿に変わっていくように見えます。エースでは雲から現れた手が一本の剣をまっすぐに掲げていますが、2では二本の剣を前に動きを止め、3では剣が心を傷つけます。その後も争い、移動、策略、束縛、不安へと場面は移り変わり、最後の10では人物が十本の剣によって倒れています。

最初の一本の剣から、こんな場面まで来るんですね。 もちろん、エースから10までが、もともと一つの物語として作られたわけではありません。けれども、絵柄を順番に眺めてみると、「思考や判断の力と、私たちはどう付き合っていくのか」という問いが浮かんできます。

それ以前の多くの伝統的なタロットでは、数札はスートの記号を中心とした図柄でした。一方、ウェイト=スミス版の数札には人物や風景を含む具体的な場面が描かれています。一枚ずつ意味を覚えるだけでなく、カード同士を比べながら眺められるところも、このデッキの面白さです。


第一幕|エースから10まで、思考の旅をたどる


ソードのエース|一本の剣を手にする

雲の中から伸びた手が、一本の剣をまっすぐに握い、その先には王冠が浮かんでいます。ウェイトはこのカードに「勝利」「征服」「力」などの意味を挙げており、実際の原語では Triumph、conquest、そして great force と表現されています。

ここを物語の始まりにするなら、「考える力」を手にした場面として眺めてみたいと思います。複雑だったものがふと整理され、「そういうことだったのか」と理解する。曖昧だったものに、自分なりの答えが見えてくるような感覚です。


考えることは、私たちが世界を理解するための大切な力です。何かを選ぶときも、問題を解決するときも、自分の考えを誰かに伝えるときも、この力を使います。


ただ、エースの段階では、まだこの剣を何に使うのかは決まっていません。まずはその力を手にした、まっすぐな瞬間が描かれているように感じます。

ソードの2|どちらを選べばいいのだろう

2では、目隠しをした人物が二本の剣を両手に持ち、胸の前で交差させるように肩に乗せています。人物はそのまま、静かに動きを止めています。ウェイトがこのカードについて使っているのは、「均衡」を意味する equipoise という言葉です。

エースでは一本だった剣が、ここでは二本になりました。二つの考えや選択肢が現れたとき、こちらにも理由があるけれど、あちらにも理由があると、簡単には決められなくなることがあります。

考えられるからこそ、すぐには選べないこともある。決められないことを単に弱さとは言えない。 このカードに描かれているのは、両方を見ている時間なのかもしれません。

ソードの3|考えるだけでは避けられない痛み

3では人の姿が消え、三本の剣に貫かれた赤いハートと、その後ろに降る雨が描かれています。ウェイトはこのカードに「分離」「断絶」などの意味を挙げています。

ここまでソードを「考え、判断し、切り分ける力」として見てきましたが、切り分けることは、ときに何かと別れることでもあります。選ばなかったものを手放したり、誰かとの考えの違いに気づいたり、聞きたくなかった事実を知ったりするかもしれません。

たとえ頭では答えが出ていても、心まで納得できるとは限りません。何かがはっきり見えたからこそ痛むこともある。この3では、頭で出した答えに、心がまだ追いついていない様子がうかがえます。

ソードの4|いったん剣を置く

3の激しい雨から一転して、4には静かな場面が描かれています。人物は横たわり、三本の剣が壁に掛けられ、もう一本がその下にあります。 ウェイトはこのカードに「退却」「孤独」「隠者の休息」などの意味を挙げています。考え続けても、答えが出ないことがあります。傷ついた直後に「では次はどうしよう」と考え始めても、頭の中で同じことを何度も繰り返してしまうこともあります。 そんなときには、考えることそのものから離れる時間が必要なのかもしれません。

判断しない。 結論を急がない。 いったん静かな場所へ戻る。

ソードの4は、剣を使うことだけではなく、剣を置いて少し休むことも、時には必要であると感じさせるカードです。

ソードの5|勝ったはずなのに

5では、再び人々が登場します。一人の人物が三本の剣を手にし、二本の剣が地面に落ちています。その向こうでは、二人の人物が背を向けて去っていきます。 ウェイトはこのカードに「不名誉」「喪失」など、厳しい意味を挙げています。この場面だけを見れば、手前の人物が勝ったようにも見えます。

剣は手元にり、相手は去っていく。 けれど、本当にこれは「勝った」と言えるのでしょうか。 議論に勝ち、自分の正しさを証明できたとしても、その後に関係そのものが失われることがあります。

ソードの5は、「正しいこと」と「その結果として何が残るか」は必ずしも同じではないことを考えさせるカードです。 剣を使えば勝つことはできる。 でも、何のために勝つのか?

ここでソードの物語は、思考や言葉の力が持つもうひとつの側面へ入っていきます。

ソードの6|その場所を離れる

6では、小さな舟に乗った人々が水の上を進んでいます。舟には六本の剣が立てられています。 ウェイトはこのカードに「水路の旅」「道」「経路」などの意味を挙げています。

5では、人々が争いの場から去っていきました。そして6になると、今度は自分自身が別の場所へ向かっています。すべての問題は、そこで決着をつけなければならないのか?

話し合っても解決しないこと。 どちらが正しいかを決めても意味がないこと。 その場所に居続けること自体が、自分を消耗させてしまうこと。 そんなときには、「離れる」という選択肢もあります。

六本の剣は舟に置かれたままです。 考えたことや経験したことをすべて忘れるわけではなく、それらを持ったまま場所を変えていく。つまり、決着をつけるより、まず移動することが助けになる場面なのかもしれません。 いったん離れてみる。

ソードの6は、戦い続けることとは違う形で状況を動かす場面として見ることができます。

ソードの7|正面から行かない

7では、一人の人物が五本の剣を抱えて歩いています。その後ろには、二本の剣が残されています。

正面からぶつかる以外の方法を考え、相手にすべてを見せずに動く。 それは状況によって、賢い戦略にもなれば、不誠実な行動にもなります。

ここで興味深いのは、この人物が五本を抱えている一方で、二本は残していることです。何を持ち、何を残したのでしょうか? 剣を振るって戦うのではなく、どう動くかを考えているようにも見えます。

ソードの7には、思考の持つ「戦略」という側面を見ることができます。

ソードの7は、「裏切り」「ずる賢さ」といった意味で紹介されることも多いカードです。けれど、ウェイトが『The Pictorial Key to the Tarot』で挙げている意味を見ると、もう少し複雑です。

「企て」「試み」「希望」といった意味がある一方で、「諍い」や「失敗するかもしれない計画」も並んでおり、ウェイト自身も、これらの意味合いが大きく食い違っていることに触れています。

この人物は、知恵を使って危険を避けているのでしょうか。それとも、誰かを出し抜こうとしているのでしょうか。絵だけでは、まだ決めきれません。

そう考えると、ソードの7は単純に「悪い行動」を表すというより、知恵や策略をどう使うのかによって意味が変わってくるカードとして眺めることもできます。

ソードの8|考えるほど、動けなくなる

8では、目隠しをされ、身体を縛られた人物の周囲に八本の剣が立っています。一見すると完全に閉じ込められているようですが、ウェイトはこの状態について、取り返しのつかない束縛というより、一時的な拘束であると説明しています。 ここまで、ソードは考え、判断し、戦略を立てるための力でした。けれど、考えることが増えすぎたらどうなるでしょう。

これをしたら失敗するかもしれない。 あちらを選んだら後悔するかもしれない。 周囲からどう思われるだろう。 もっと良い方法があるのではないか。

可能性を考え続けるうちに、一歩も動けなくなることがあります。 動けない理由が外にあるのか、自分の中で大きくなっているのか、少し立ち止まる。 ソードの8は、思考が自分を助ける力から、自分の動きを狭めるものへ変わっていく場面として見ることができます。

ソードの9|剣が頭の中へ入ってくる

9では、ベッドの上で身体を起こし、顔を覆う人物が描かれています。その頭上には九本の剣が横一列に並んでおり、ウェイトが挙げる意味の中には「絶望」も含まれています。 8では剣が人物の周囲に立っていましたが、9では頭の上に並んでいます。実際に何かが起きているというより、眠れない夜に頭の中で何度も同じことを考えているようにも見えます。

あのとき、別の選択をしていたら。 明日、悪いことが起きたらどうしよう。 あの言葉は、どういう意味だったのだろう。 まだ起きていない未来を考え、すでに終わった過去を考え、そのどちらにも今の自分が苦しめられる。思考は、今、目の前に無い、現実にないものまで頭の中に作ることができます。 ソードの9は、実際の出来事そのものというより、夜になると頭から離れない考えにも見えます。ただ、何がこの人を眠れなくしているのかは、絵だけではわかりません。ここも、周りのカードと合わせて考えたいところです。

ソードの10|もう、これ以上は続けられない

そして10では、一人の人物が地面に倒れ、その身体には十本の剣が刺さっています。

非常に強烈な絵ですが、ウェイト自身は、このカードについて「特に暴力的な死を表すカードではない」と明記しています。

ですから、実際の死を予告するカードとして受け取る必要はありません。

物語として眺めるなら、ひとつの思考や対立の流れが、もうこれ以上は続けられないところまで来た場面とも考えられます。

エースでは、人が一本の剣を手にしていました。それが10では、人が十本の剣によって倒れています。最初は自分を助けるための力だったはずなのに、考え続け、争い、策を巡らせ、不安を膨らませていくうちに、その力に自分自身が圧倒されてしまう。

けれど、10は最後の数字でもあります。

この状態を永遠に続けるのではなく、ここでひとつの流れが終わると読むこともできます。

これ以上は同じやり方で続けられない。そう感じたとして、何を終え、何がここから変わるのかは、そのときの状況や周りのカードを見ながら考えたいところです。

10枚を並べると見えてくる「思考」の変化

ソードのエースから10までを、もう一度眺めてみます。

エースで一本の剣を手にし、2で二つの間で迷う。3では判断や分離に伴う痛みを経験し、4ではいったん剣を置きます。5では再び剣を手にして争い、6ではその場所を離れる。7では正面からぶつからず策を使い、8では考えに囲まれて動けなくなる。そして9では、その剣が頭の中を占めるようになり、10ではついにその重さに倒れています。

もちろん、これを必ず起こる一連の出来事として読むわけではありません。ただ、絵を続けて眺めると、剣と人との距離が少しずつ変わっていくようにも見えます。


考えることは、問題を整理し、危険を避け、選択肢を比べる助けになります。その一方で、迷いが生まれたり、誰かと正しさを争ったり、自分の考えに縛られたりすることもあります。

剣を何のために、どんな場面で使うのか。10枚を並べてみると、そんな「思考との付き合い方」も考えたくなります。

なぜ最後のソードの10は、こんなにも重いのか

ワンドの10では、人物が十本のワンドを抱えて歩いていました。ソードの10では、その十本すべてが人物に突き刺さっています。同じ「10」でも、描かれている場面はかなり違います。

ソードの物語の中で興味深いのは、途中から剣が、誰かと戦うためだけのものではなくなっていくことです。

7では策を巡らせ、8では自分の周囲を囲み、9では頭の上に並びます。外に向いていた剣が、少しずつ自分自身の世界へ近づいてくるようにも見えます。そして10では、ついにそのすべてを身体で受けています。

考えることは大切です。けれど、すべてを考えて解決しようとしなくてもいいのかもしれません。

答えの出ないことを考え続ける。

終わった出来事を何度も検討する。

まだ起きていない未来のために、あらゆる悪い可能性を想像する。

そうした思考が積み重なったとき、「考える」という本来役に立つはずの力が、自分を苦しめるものへ変わることがあります。

だから10は、単なる「最悪のカード」ではなく、もう十分考えた。

ここで、この流れを終わらせてもいい。

そんな地点として見ることもできます。

第二幕|物語のもうひとつの主役――剣を持つ人々

エースから10まで、一本の剣から始まった「思考」の行方を追ってきました。けれど、ソードにはもう4枚、ペイジ、ナイト、クイーン、キングというコートカードがあります。この4枚を合わせて、ソードは全部で14枚です。


ここからは、剣がどのように増えていくかではなく、一本の剣を持った人物が、その力とどう付き合っているかを見ていきましょう。

なお、ここでの4人の読み方は、ウェイト自身が記した占い上の意味をそのまま言い換えたものではありません。

それぞれの図像や伝統的な意味を踏まえながら、「思考や言葉という剣をどう扱う人物に見えるか」という視点で眺めていきます。

また、ペイジからキングまでを、人が必ずこの順番で成長していく4段階として扱うものでもありません。

ソードのペイジ|「もっとよく見てみよう」

ペイジは一本の剣を両手で持ち、身体とは別の方向へ顔を向けています。周囲を注意深く見ているような姿です。ウェイトもこのカードに、監視、警戒、調査などにつながる意味を挙げています。

剣を持っているからといって、すぐに振るう必要はありません。

まず見る。

聞く。

調べる。

「本当にそうなのだろうか」と考えてみる。

情報をそのまま受け取るのではなく、自分の頭で確かめようとする。

ソードのペイジは、答えを持っている人というより、答えを探している人。知りたいという気持ちと、そのために周囲を注意深く観察する姿を見ることができます。

一本の剣を、まず「知るため」に使っている人物として眺めることができます。

ソードのナイト|「答えが見えた。行こう」

ナイトになると、場面は一気に動きます。

剣を掲げた騎士が、勢いよく馬を走らせています。木々は風に揺れ、空には雲が流れています。ウェイトはこのカードに、技能、勇気、能力、防御といった意味を挙げる一方、敵意、怒り、戦争、破壊といった激しい意味も挙げています。

ソードの力が一気に外へ向かった姿です。

「こうすべきだ」

「これが正しい」

「だったら今すぐ動こう」

判断の速さは大きな力になります。迷っている間に機会を逃すこともあるからです。

一方で、答えが見えた瞬間に走り出せば、まだ見えていないものを置き去りにしてしまうこともあります。

ソードのナイトには、思考が決断と行動へ変わったときの鋭さと、その鋭さゆえの危うさの両方を見ることができます。

ソードのクイーン|「必要なものを、見極める」

クイーンは、一本の剣をまっすぐに立て、玉座に座っています。もう一方の手は前へ差し出されています。

ウェイトがこのカードに挙げている意味には、悲しみ、喪失、別離など、決して軽くないものも含まれています。その背景を考えると、クイーンの鋭さは、ただ冷たいから生まれたものではないとも読めます。

経験したからこそ、見えることがある。

何を受け入れるのか。

何を受け入れないのか。

どこまで近づき、どこから距離を取るのか。

感情がないのではなく、感情だけに流されず、自分に必要な境界を見極める。

ソードのクイーンには、経験を通して培われた判断力と、自分の基準で物事を見る強さを感じることができます。それは決して感情をなくすのではなく、感情も持ったうえでの見極めです。自分にとって必要な距離を知る。クイーンの持つ剣は”相手を切るため”ではないのでしょう。

ソードのキング|「この剣を、どう使うのか」

キングもまた、一本の剣を手に玉座に座っています。

ウェイトはこのカードに、権力、命令、権威、法律などの意味を挙げ、さらに militant intelligence という言葉を使っています。単に「頭のいい人物」というより、判断する力を実際の決定や権限へ結びつける人物像が見えてきます。

考えるだけではなく、決める。

そして、その決定が自分だけではなく、他者にも影響する立場になる。

力が大きくなるほど、「正しい答えを知っていること」だけでは十分ではなくなります。

その判断を何のために使うのか。

誰にどのような影響を与えるのか。

その結果にどう責任を持つのか。

ソードのキングは、思考や判断を現実の中で使う力と、その力を持つことの責任を見ることができ、その使い方と結果まで問われているかのようです。

10枚の物語と、4人の人物

こうして見ると、ソードの14枚には二つの見方ができます。

エースから10までの数札では、一本の剣から始まった思考や判断の力が、選択、痛み、争い、戦略、不安へと姿を変えていくように見える一方、4枚のコートカードでは、同じ剣を持つ人物たちの違いが表れています。

ペイジは観察し、ナイトは決断すると勢いよく進む。クイーンは経験を通して見極め、キングは判断を現実の決定へつなげていく。

もちろん、これは「ペイジから始めて、ナイト、クイーン、キングの順に成長すれば完成する」という意味ではありません。

私たちは状況によって、どの人物のようにもなります。

知らないことを前にしたときには、ペイジのように調べることが必要かもしれません。

決断しなければならないときには、ナイトの速さが必要になることもあります。

何かを手放すときには、クイーンの見極めが役に立つかもしれません。

そして、自分の判断が周囲にも影響するときには、キングのようにその力の使い方を考える必要があります。

同じ一本の剣でも、持つ人によって使い方は変わります。

カードの意味を「点」ではなく「流れ」で見る

タロットを学び始めると、「ソードの3は悲しみ」「ソードの6は移動」「ソードの9は不安」と、一枚ずつ意味を覚えることが多いかもしれません。

もちろん、一枚ごとの象徴や意味を知ることは大切でが、一方で、カードを並べて比べてみると、それまでとは違うものが見えてきます。

なぜ、迷っていた2の次に、心を貫かれる3があるのか。

なぜ、争う5の次に、舟で離れていく6があるのか。

なぜ、策略を使う7の次に、身動きが取れない8があるのか。

そして、なぜ8では身体の周囲にあった剣が、9では頭上へ移り、10では人物自身を貫いているのか。

それが意図された連続物語だったということではありません。

けれど、カードの図像を順番に眺めたり、共通するモチーフを比べたりすると、一枚だけを見ていたときには気づかなかった関係が見えてきます。

さらにコートカードへ目を向ければ、同じ一本の剣を手にしていても、それぞれの人物によって扱い方が違うことにも気づきます。

カードの意味を暗記するだけではなく、絵を見ながら考えること。タロットは、その両方を行き来しながら解釈を広げることができます。

おわりに|剣を手放すのではなく、使い方を選ぶ

ソードのエースでは、雲から現れた手が一本の剣を握っていました。

そして10では、一人の人物が十本の剣によって倒れています。

その間には、迷いがあり、痛みがあり、休息があり、争いがありました。

その場所を離れることもあれば、策を考えることもあり、やがて自分自身の思考から動けなくなり、眠れないほど考え込む場面もありました。

だからといって、「考えないほうがいい」という話ではありません。

エースに描かれているように、剣は大きな力です。

考えるからこそ、私たちは物事を理解できます。

判断するからこそ、選ぶことができます。

言葉があるからこそ、自分の考えを誰かに伝えることができます。

問題になるのは、剣を持っていることではなく、その剣に自分自身まで支配されてしまうことなのかもしれません。

今、何のために考えているのか。

その答えは、本当に今出さなければならないのか。

誰かに勝つために剣を使っていないか。

そして、もう終わったことを、頭の中で何度も戦い直してはいないか。

ソードの10までたどり着いたあと、もう一度エースの一本の剣を見ると、その姿は最初とは少し違って見えるかもしれません。

剣を持たないのではなく、必要なときに、必要な使い方をする。

そして、ときにはソードの4のように、その剣を置く。

14枚のソードを眺めてみると、そこには「思考」や「知性」という言葉だけでは収まりきらない、人と考える力との複雑な関係が描かれています。

私たちは剣を持っています。

だからこそ、その剣をどう使うのかを選ぶこともできるのです。

次回は、カップの14枚を眺めます。ソードが「思考」の物語だとすれば、カップからはどんな「心の物語」が見えてくるのでしょうか。

参考文献

A. E. Waite, The Pictorial Key to the Tarot, William Rider & Son, 1910/1911.

A. E. Waite(考案), Pamela Colman Smith(絵), タロットカード(現在は「ウェイト=スミス版」「ライダー=ウェイト=スミス版」として知られる), William Rider & Son, 1909年(初版の刷り年については1910年とする記録もあります)。

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