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1. タロットとは

現在広く使われているタロットは、一般的に78枚のカードで構成されています。

「愚者」「魔術師」「女帝」「運命の輪」「死神」「世界」など、印象的な名前を持つ22枚の大アルカナと、ワンド、カップ、ソード、ペンタクルという4つのスートからなる56枚の小アルカナがあります。

一枚一枚のカードには人物や物、風景などが描かれており、それぞれのカードが持つ意味や象徴、カード同士の組み合わせや配置などから読み解いていきます。

現在では占いの道具として広く知られているタロットですが、もともとは占いのために作られたものではありません。

タロットが生まれたのは、15世紀のイタリアです。

2.タロットはどこで生まれた?

タロットに関する初期の記録は、1440~1450年代のイタリアに残されています。ミラノやフィレンツェなど、北部・中部イタリアの都市で使われていました。

この時代のタロットとして現在も残っているものに、ミラノのヴィスコンティ家やスフォルツァ家に関係する「ヴィスコンティ=スフォルツァ・タロット」があります。

当時のタロットは占いの道具ではなく、カードゲームに使われていました。

もともと使われていたカップ、ソード、バトン、コインという4つのスートのカードに、人物などが描かれた切り札と「愚者」が加えられています。現在の78枚のタロットにつながる基本的な構成は、すでにこの時代に見ることができます。

現在のタロットから受ける印象とはかなり違いますが、その始まりはカードゲームだったのです。

タロットが占いに使われるようになるのは、ここからさらに数百年後のことです。

3.タロットはどのように占いになった?

タロットと占いや神秘思想との結びつきが大きく発展したのは、18世紀後半のフランスです。

この時代、フランスの学者アントワーヌ・クール・ド・ジェブランは、タロットには古代の神秘的な知識が隠されているという解釈を提示しました。

さらに、エテイヤの名で知られるジャン=バティスト・アリエットは、タロットを占いに用いる方法を体系化し、占いを目的としたタロットの制作にも関わりました。

このころから、ゲームとして使われてきたタロットに、占いや神秘思想に基づくさまざまな意味や解釈が加えられていきます。

当時唱えられた説の中には、現在では歴史的な根拠がないと考えられているものもあります。一方で、そこで生まれた考え方は、その後のタロットに大きな影響を与えました。

4.タロットと神秘思想

19世紀になると、タロットはさらにさまざまな神秘思想と結びついていきます。

その中で大きな影響を与えた人物の一人が、フランスのオカルティスト、エリファス・レヴィです。

タロットはカバラをはじめとする西洋のさまざまな秘教思想と関連づけて解釈されるようになり、19世紀末にはイギリスの「黄金の夜明け団」などによって、カバラや占星術などとの対応関係も体系化されていきました。

タロットで語られることのある「生命の樹」との関係も、15世紀にタロットが作られた当初からあったものではありません。

タロットとカバラは、それぞれ別の歴史を持っています。後世の西洋秘教の中で両者が結びつけられ、タロットを読み解くための象徴体系のひとつとして発展していきました。

現在のタロットには、こうして長い時間をかけて加えられてきたさまざまな思想や解釈も受け継がれています。

5.現在につながるタロットの系統

長い歴史の中で、タロットにはさまざまな種類が生まれました。現在よく知られているものにも、いくつかの系統があります。

マルセイユ・タロット

マルセイユ・タロットは、ヨーロッパで発展した伝統的なタロットの代表的な系統です。

大アルカナには人物や寓意的な図像が描かれていますが、小アルカナの数札は、カップや剣などのスートのシンボルを数に応じて配置したものが中心です。

現在よく見かける、人物や風景が小アルカナにも描かれたタロットとは、見た目にも大きな違いがあります。

ウェイト=スミス・タロット(ライダー=ウェイト版)

現在、世界中で広く使われているタロットのひとつが、1909年に出版されたウェイト=スミス・タロットです。

黄金の夜明け団にも所属したアーサー・エドワード・ウェイトの構想のもと、画家パメラ・コールマン・スミスが78枚のカードを描き、William Rider & Sonから出版されました。「ライダー=ウェイト」「ライダー=ウェイト=スミス」などの名称でも知られています。

大きな特徴のひとつは、小アルカナの数札にも人物や場面が描かれていることです。

たとえば「カップの5」には、単に5つのカップが並んでいるのではなく、倒れたカップを前にした人物が描かれています。

カードの意味を人物や風景、そこで起きていることなどから読み取ることができるため、一枚の絵をひとつの場面として見ることもできます。

現在販売されているタロットにも、ウェイト=スミス・タロットの構成や図像から影響を受けたものが数多くあります。

トート・タロット

もうひとつ代表的なものが「トート・タロット」です。

イギリスのオカルティスト、アレイスター・クロウリーの構想をもとに、画家フリーダ・ハリスが1930年代から1940年代にかけて制作しました。

カバラや占星術などとの対応が強く取り入れられており、ウェイト=スミスとは異なる象徴体系や世界観を持っています。

現在では、動物や植物、神話、ファンタジーなど、さまざまなテーマで描かれたタロットが作られています。

ウェイト=スミスなどをもとにして描かれたものも多く、絵柄が大きく変わっていても、78枚という基本構成やカードの名称、象徴などに共通点を見ることができます。

一方で、伝統的な構成や表現を独自にアレンジしたタロットもあり、現在も新しいデッキが生まれ続けています。

現代のさまざまなタロット

6.タロットを構成する78枚

現在一般的なタロットは、22枚の「大アルカナ」と56枚の「小アルカナ」、合わせて78枚で構成されています。

大アルカナ

大アルカナには、「愚者」「魔術師」「女教皇」「女帝」「皇帝」「恋人」「運命の輪」「死神」「塔」「太陽」「世界」など、それぞれ特徴的な名前と図像を持つカードがあります。

一枚一枚が強い象徴性を持ち、人生の大きなテーマや転換、心の変化などを読み解く際に用いられます。

小アルカナ

小アルカナは56枚あり、4つのスートに分かれています。

ウェイト=スミス系では、一般にワンド、カップ、ソード、ペンタクルと呼ばれます。

それぞれのスートにはエースから10までの数札と、ペイジ、ナイト、クイーン、キングという4枚のコートカードがあります。

同じ「5」でも、ワンドの5、カップの5、ソードの5、ペンタクルの5では、描かれている場面も、そこから読み取るテーマも異なります。

また、数字やスート、人物、色、構図など、複数のカードに共通する要素を見ることで、カード同士のつながりも見えてきます。

7.カードに描かれた物語と象徴

タロットは、一枚ずつの意味だけでなく、カード同士のつながりから見ることもできます。

たとえば大アルカナ22枚には、0番の「愚者」から始まり、「魔術師」「女教皇」「女帝」「皇帝」などを経て、最後の「世界」へと続く流れがあります。

現代では、この大アルカナの流れを、一人の人物がさまざまな経験をしながら成長していく物語になぞらえ、「愚者の旅(The Fool's Journey)」として読み解くことがあります。

ただし、「愚者の旅」は15世紀にタロットが作られた当初からあった物語ではありません。後世に生まれた、大アルカナを理解するための読み方のひとつです。

ウェイト=スミス・タロットでは、小アルカナにも人物やさまざまな場面が描かれています。

人物の表情や視線、背景の風景、手に持っているものなども、カードを読み解く手がかりになります。

複数のカードを並べると、人物同士が向き合っていたり、反対を向いていたり、隣のカードへ視線を向けているように見えたりすることもあります。

一枚のカードだけでなく、並んだカードの絵からつながりや物語を見つけていくことも、タロットの読み方のひとつです。

8.タロットはどうやって読む?

タロットには、一枚だけカードを引く方法もあれば、複数のカードを決められた位置に並べる「スプレッド」を使う方法もあります。

スプレッドでは、それぞれの位置に「現在」「課題」「これからの流れ」「アドバイス」などの役割を持たせ、そこに出たカードを組み合わせて全体を読み解いていきます。

また、カードが上下逆さまに出た場合を「逆位置」として読む方法もあります。逆位置を使わず、すべて正位置として読む方法もあります。

カードに与えられている意味だけでなく、描かれている象徴や人物の様子、周囲のカードとの関係、質問の内容なども読み解く材料になります。

同じカードでも、質問や配置、周囲に出たカードによって読み方が変わることがあります。

9.タロットで読み解けること

タロットでは、仕事、恋愛、人間関係、気持ち、選択肢、これからの流れなど、さまざまなテーマについてカードを展開することができます。

未来についてカードを引くこともありますが、HOCA WORKSでは、タロットを「未来を確定するもの」とは考えていません。

現在の状況や自分の気持ち、これから進もうとしている方向、ほかに考えられる選択肢などを、カードを通して見ていくこともできます。

カードに描かれた象徴や物語を手がかりに、今の状況を別の角度から眺めてみる。タロットは、そんな「もうひとつの見方」を持つための方法としても楽しむことができます。

10.タロットをリーディングで楽しむ

YouTube「ほととぎタロット」では、実際にカードを使ったリーディングを公開しています。

一枚ずつのカードをどのように読み、複数のカードをどのようにつなげていくのか。実際のリーディングとしてタロットをお楽しみください。

→ ほととぎタロット

11.もう少し知りたい方へ

タロットの歴史やカードの象徴、大アルカナ・小アルカナ、スプレッド、さまざまなタロットの違いなどについて、コラムで少しずつ紹介していきます。

→ タロットのコラム

参考文献・参考資料

本ページのタロットの歴史に関する記述では、15世紀の初期タロット、占術としてのタロットの成立、近代のタロットについて、博物館・研究機関およびタロット史研究の資料を参照しています。

​

The Metropolitan Museum of Art, “Before Fortune-Telling: The History and Structure of Tarot Cards.”

Ronald Decker, Thierry Depaulis, Michael Dummett, A Wicked Pack of Cards: The Origins of the Occult Tarot.

The British Museum, collection records for Arthur Edward Waite and Pamela Colman Smith.

The Morgan Library & Museum, materials on the Rider-Waite-Smith tarot.

The Warburg Institute, Tarot – Origins & Afterlives exhibition materials.

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