西洋占星術
1.西洋占星術とは
私たちが普段目にする「牡羊座」「牡牛座」といった12星座占いも、西洋占星術のひとつです。けれど、西洋占星術の世界は、12星座だけではありません。
西洋占星術では、太陽や月、惑星などの天体がどこに位置し、互いにどのような関係にあるのかを「ホロスコープ」という図に表して読み解いていきます。
生まれた瞬間の天体配置から、その人の性質や人生のさまざまなテーマを考えたり、現在動いている天体との関係から時期の流れを見たり、二人のホロスコープを比較して関係性を考えたりと、さまざまな読み方があります。
現在使われている西洋占星術の考え方や技法は、長い歴史の中で形づくられてきました。
その源流をたどると、古代メソポタミアまでさかのぼります。
2.西洋占星術はどのように生まれた?
古代メソポタミアでは、長い年月にわたって天体の動きが観察・記録されていました。
初期には、天体や天文現象と、王や国家、天候など地上で起こる出来事との関係を読み取ろうとする占星術が発達しました。
その後、紀元前5世紀ごろになると、個人が生まれたときの天体配置を記したホロスコープが作られるようになります。
現存する初期の個人ホロスコープのひとつは、紀元前410年のバビロニアのものです。
また、このころまでには黄道を12の領域に分ける仕組みも整えられていきました。現在の西洋占星術で使われている12サインにつながる重要な基礎です。
こうしたメソポタミアの天文学や占星術の知識は、やがてギリシャ世界へ伝わります。
3.ホロスコープ占星術の発展
メソポタミアから伝わった知識は、ヘレニズム期のギリシャ・エジプトなどの文化や思想と結びつきながら発展していきました。
この時代には、生まれた時刻や場所をもとに天体の配置を求め、個人について読み解くホロスコープ占星術が体系化されていきます。
現在の西洋占星術でも使われている、黄道12サイン、天体、ハウス、天体同士の角度などを組み合わせてホロスコープを読む考え方の多くは、こうした古代の占星術の中で発展していきました。
紀元2世紀には、アレクサンドリアで活動したクラウディオス・プトレマイオスが『テトラビブロス』を著しています。
ただし、西洋占星術は古代ギリシャ・ローマ世界だけで現在まで伝わったわけではありません。
古代末期以降、ギリシャ語で書かれた天文学・占星術の文献の一部はペルシアやイスラム世界へ伝わり、アラビア語などに翻訳されました。そこでさらに研究や発展が重ねられ、その知識は中世ヨーロッパへも伝えられていきます。
現在「西洋占星術」と呼ばれているものは、ひとつの時代や地域で完成したものではなく、さまざまな文化圏を経ながら長い時間をかけて形づくられてきたものなのです。
4.ホロスコープとは
実際の宇宙では、太陽や月、惑星は三次元の空間に位置しています。
一方、私たちが占星術で目にするホロスコープは平面の図です。立体的な空にある天体の位置を、占星術で読み解くために一定の基準に沿って図に表したものがホロスコープです。
その重要な基準のひとつになるのが、「黄道」です。
地球から見ると、太陽は一年をかけて星空の中を移動し、再び元の場所へ戻ってくるように見えます。この太陽の見かけの通り道を「黄道」と呼びます。
西洋占星術では、この黄道を基準として太陽や月、惑星の位置を表していきます。
つまり、ホロスコープは宇宙そのものを上から眺めた図ではありません。
ある時刻、ある場所から見た天体の位置や関係を、占星術という方法で読み解く ために表した図なのです。
5.黄道と12星座
黄道を12に分けた「サイン」
西洋占星術では、黄道360度を30度ずつ12に分け、牡羊座から魚座までの12の領域として扱います。
この12の領域が、占星術でいう「12サイン」です。
牡羊座、牡牛座、双子座……という名前を見ると、夜空に浮かぶ星座をそのまま12の領域として使っているようにも思えます。
ところが、現在一般的な西洋占星術で使われている12サインと、実際の空にある星座は、同じものではありません。
占星術の「牡羊座」と、空の牡羊座は違う?
HOCA WORKSの西洋占星術では、現在の西洋占星術で広く使われているトロピカル方式(回帰黄道)を基準とします。
この方式では、春分点を牡羊座の0度として、そこから黄道を30度ずつ12のサインに分けていきます。
つまり、占星術で「牡羊座」と呼ばれる領域は、現在の空にある牡羊座という星座そのものの範囲を表しているわけではありません。
つまり、西洋占星術で使われる12サインは、現在の空に見える12の星座をそのまま区切ったものではありません。
なお、インド占星術では、主に恒星を基準とするサイデリアル方式(恒星黄道)が使われます。そのため、同じ生年月日でも、西洋占星術とインド占星術では天体が入る星座が異なる場合があります。
6.ホロスコープを読み解く4つの基本要素
ホロスコープを見ると、さまざまな天体の記号や数字、線などが描かれています。
これらを読み解くときに基本となるのが、「天体」「サイン」「ハウス」「アスペクト」という4つの要素です。
まず、どの天体が、どのサインにあり、どのハウスに位置しているのかを見ていきます。さらに、その天体がほかの天体とどのような角度をつくっているのかも見ていきます。
それぞれが何を表しているのか、順番に見てみましょう。
天体
西洋占星術では、太陽と月に加え、水星、金星、火星、木星、土星などの惑星を使います。現代の西洋占星術では、天王星、海王星、冥王星も広く用いられています。
それぞれの天体は、異なるテーマと関連づけて読み解かれます。
たとえば、太陽は中心的な自己や意志、月は感情や安心感、水星は思考やコミュニケーション、金星は好みや価値観 、火星は行動や意欲などと関わる天体として読み解かれます。
つまり、ホロスコープを見るときには、まず「どの天体について見ているのか」によって、読み解くテーマが変わります。
ただし、ひとつの天体だけでその人の性質が決まるわけではありません。その天体がどのサインにあり、どのハウスに位置し、ほかの天体とどのような関係をつくっているのかを重ねながら見ていきます。
サイン
12サインは、牡羊座、牡牛座、双子座から魚座までの12種類です。
西洋占星術では、それぞれのサインに異なる性質や特徴があると考え、その天体の働きがどのような形で表れやすいのかを読み解くために使います。
たとえば、同じ火星という天体でも、牡羊座にある場合と蟹座にある場合では、そのエネルギーや行動力の表れ方を異なるものとして読み解きます。
天体が「何についての働きなのか」を表すとすれば、サインは、その働きがどのような性質を帯びるのかを見るための要素のひとつです。
このように、同じ天体でも、どのサインに位置しているかによって読み方が変わってきます。
ハウス
ハウスは、天体の働きが人生のどのような領域に表れやすいのかを見るための要素です。
ホロスコープは12のハウスに分けて読むことがあり、それぞれのハウスは、自分自身、家庭、仕事、人間関係など、人生のさまざまな領域と関連づけられています。
たとえば、同じ天体が同じサインにあったとしても、それが仕事に関わる領域に位置している場合と、人間関係に関わる領域に位置している場合では、読み解くテーマが変わります。
どのサインや天体がどのハウスに位置するかは、出生時刻や出生地によって変わります。そのため、出生時刻はホロスコープを詳しく読むうえで重要な情報のひとつです。
出生時刻と出生地からは、「アセンダント(ASC)」と呼ばれる重要なポイントも求められます。アセンダントは、出生時に東の地平線と黄道が交わっていた地点で、ホロスコープを読み解くうえで重要な要素のひとつです。
ホロスコープを見ると、天体同士を結ぶ線が描かれていることがあります。
これは「アスペクト」と呼ばれる、天体同士がつくる角度を表しています。
代表的なものには、0度のコンジャンクション、60度のセクスタイル、90度のスクエア、120度のトライン、180度のオポジションなどがあります。
アスペクトを見ることで、異なるテーマを持つ天体 同士が、ホロスコープの中でどのように関わり合っているのかを読み解いていきます。
たとえば、ある天体について考える場合も、その天体だけを見るのではなく、ほかの天体とどのようなアスペクトをつくっているのかを見ることで、さらに別の側面が見えてきます。
このように、天体、サイン、ハウス、アスペクトは、それぞれ別々に読むだけではありません。
どの天体が、どのサインにあり、人生のどの領域に位置し、ほかの天体とどのような関係をつくっているのか。それらを重ね合わせながら、ホロスコープ全体を読み解いていきます。
アスペクト
7.西洋占星術にはさまざまな読み方がある
西洋占星術というと、生まれたときのホロスコープからその人について読み解くものを思い浮かべるかもしれません。
けれど、西洋占星術にはさまざまな技法があります。
出生図
生年月日、出生時刻、出生地から、その人が生まれた瞬間の天体配置を表したものが「出生図(ネイタルチャート)」です。
その人の性質や人生のさまざまなテーマなどを読み解く際に使われます。
トランジット
今、実際に動いている天体の配置を見る方法です。
出生図の天体と現在の天体との関係などを見ることで、その時期にどのようなテーマが意識されやすいのか、どのような流れにあるのかを考えます。
二人のホロス コープを見る
二人の出生図を比較し、天体同士の関係などから、二人の関係性を読み解く方法もあります。
恋愛だけでなく、家族、友人、仕事上の関係などを見る際にも使われます。
このほかにも、西洋占星術には目的に応じたさまざまな技法があります。
同じホロスコープでも、何を知りたいのか、どこに注目するのかによって、違った角度から眺めることができます。
8.太陽星座だけではない、西洋占星術
普段「私は○○座」と呼んでいる星座は、一般的には生まれたときに太陽が 位置していたサイン=太陽星座のことです。
けれど、生まれた瞬間の空にあったのは太陽だけではありません。
月もあれば、水星、金星、火星、木星、土星などの惑星もあります。そして、それぞれが異なるサインに位置しています。
西洋占星術では、太陽はその人の中心的な自己や意志、人生で目指していく方向などと関わる天体として読み解かれます。
一方、月は感情や安心感、無意識的な反応などと関わる天体として読み解かれます。
さらに、ほかの天体、ハウス、アスペクトなどを重ねていくことで、ひとつの太陽星座だけでは見えてこなかったさまざまな側面を読み解いていきます。
太陽星座だけを見ていたときとは、少し違った自分の側面が見えてくるかもしれません。
9.自分の星を調べる
まずは、身近なもうひとつの星として「月星座」を調べてみませんか。
HOCA WORKSの月星座診断では、生年月日と出生時刻から、あなたが生まれたときの太陽星座と月星座を調べることができます。
出生時刻がわからない場合も、その日の天体の動きを計算し、星座をひとつに特定できる場合は結果を表示します。出生時刻によって星座が変わる日は、考えられる2つの星座と切り替わる時刻を表示します。
→ 月星座診断
10.もう少し知りたい方へ
西洋占星術の歴史や仕組み、天体、12サイン、ハウス、アスペクト、さまざまな占星術の技法などについて、コラムで少しずつ紹介していきます。
11.星の流れをリーディングで楽しむ
その時々の星の動きとカードを組み合わせたリーディングは、YouTube「ほととぎタロット」で公開しています。
知識として西洋占星術を学ぶだけでなく、日々を眺めるひとつの視点としてお楽しみください。
→ ほととぎタロット
参考文献・参考資料
本ページの西洋占星術の歴史や仕組みに関する記述では、古代メソポタミア、ヘレニズム期の占星術、古代から中世への知識の伝承などについて、以下の資料を参照しています。
Francesca Rochberg, The Heavenly Writing: Divination, Horoscopy, and Astronomy in Mesopotamian Culture, Cambridge University Press.
Francesca Rochberg, “Science and Ancient Mesopotamia,” The Cambridge History of Science, Cambridge University Press.
Francesca Rochberg, “Sources for Horoscopes in Astronomical Texts,” The Heavenly Writing, Cambridge University Press.
Nicholas Campion, “Astrology in Ancient Greek and Roman Culture,” Oxford Research Encyclopedia of Planetary Science, Oxford University Press.
“Hellenistic Astrology,” Internet Encyclopedia of Philosophy.
“Astrology and Astronomy in Iran,” Encyclopaedia Iranica.