ルノルマンカード
1.ルノルマンカードとは
ルノルマンカードは、36枚のカードを使って状況や人間関係、これからの流れなどを読み解くカード占いです。
カードには「騎士」「クローバー」「船」「家」「木」「雲」「蛇」「棺」「花束」「鎌」など、身近なものや人物、自然などが描かれています。
タロットのように一枚のカードに複雑な場面が描かれているというより、ひとつのカードにひとつのモチーフが描かれているものが多く、複数のカードを組み合わせて読むことを大切にします。
「ルノルマン」という名前は、この36枚のカードを考案した人物の名前ではありません。
もとになっているのは、18世紀末にドイツで作られた「希望のゲーム(Das Spiel der Hoffnung)」という36枚のカードゲームです。
現在の名前の由来になったのは、フランスで活躍した有名な占い師、マリー・アンヌ・ルノルマンです。
2.「ルノルマン」は人の名前
マリー・アンヌ・アデライード・ルノルマンは、1772年にフランスで生まれ、18世紀末から19世紀前半にかけて活躍した占い師です。
フランス革命からナポレオン時代にかけて名声を得た人物で、British Museumでも「フランス革命・ナポレオン時代の有名な占い師、著述家」と紹介されています。
ルノルマンの名前とともによく語られるのが、ナポレオン・ボナパルトの最初の妻、ジョゼフィーヌ・ド・ボアルネです。
ルノルマンは後年、自身の著作の中でジョゼフィーヌやナポレオンとの関わりについて記しています。また、ジョゼフィーヌが占いに関心を持っていたことを伝える同時代・後世の資料もあり、ルノルマンが彼女を占ったという話は広く知られるようになりました。
一方で、ルノルマン自身が自らの名声を高めるような記述を残していることもあり、ナポレオンやジョゼフィーヌとの関係について語られてきた逸話のすべてを、そのまま史実として扱うことはでき ません。
それでも、「マドモアゼル・ルノルマン」の名は当時からその後にかけて広く知られるようになり、彼女の死後も占い師の名前として残っていきました。
3.ルノルマン本人が36枚のカードを作った?
マリー・アンヌ・ルノルマンは1843年に亡くなりました。
現在「ルノルマンカード」と呼ばれている36枚のカードは、彼女自身が考案したものではありません。
また、現在の36枚のルノルマンカードを使って彼女が占っていた、と確認できる史料もありません。
19世紀には、彼女の名声を背景に「Mlle Lenormand」の名前を冠したさまざまな占いカードが作られるようになりました。実際にBritish Museumにも、19世紀にドイツで出版された 「Mlle. Lenormand's fortune-telling cards」が複数所蔵されています。
その中には36枚ではないものもあります。British Museumには、1855年ごろにドイツで出版された、52枚に追加カードを加えた「Mlle. Lenormand」の占いカードも残されています。
つまり「ルノルマン」という名前は、最初から特定の36枚のカードだけを指していたわけではありません。
現在一般に使われている36枚のルノルマンカードは、別のカードゲームにそのルーツを見ることができます。
4.36枚のカードはどこから来た?
現在の36枚のルノルマンカードにつながる重要なカードが、ドイツの「希望のゲーム(Das Spiel der Hoffnung)」です。
18世紀末、ニュルンベルクのヨハン・カ スパー・ヘヒテルによって考案された36枚のカードゲームで、1799年ごろに作られたとされています。
36枚にはそれぞれ異なる絵が描かれており、現在のルノルマンカードに見られる「騎士」「船」「家」「木」「雲」「蛇」などにつながるモチーフを見ることができます。
このカードにはトランプの札も対応づけられており、ゲームとして遊ぶだけでなく、カードを並べて占いのように使う方法も説明されていました。
British Museumには、19世紀前半にニュルンベルクで出版された「Das Spiel der Hofnung(希望のゲーム)」の36枚セットが残されています。カードには通し番号、絵柄、フランス式とドイツ式のトランプ札が表示され、ゲームの説明書も付属しています。
この36枚の絵柄を受け継いだカードが、19世紀にルノルマンの名前と結びつき、現在「ルノルマンカード」と呼ばれているカードへとつながっていきました。
有名な占い師ルノルマンが36枚のカードを作ったのではなく、すでに存在していた36枚のカードの系統に、後からルノルマンの名前が結びついたという順番です。
5.ルノルマンカードを構成する36枚
現在一般的なルノルマンカードは、36枚で構成されています。
1番の「騎士」から始まり、「クローバー」「船」「家」「木」「雲」「蛇」「棺」「花束」と続き、36番の「十字架」まで、それぞれのカードに番号とモチーフがあります。
多くのデッキには、カードの絵柄とともにトランプの札も描かれています。これは「希望のゲーム」の時代から見られる特徴です。British Museum所蔵の後世のルノルマンカードにも、絵柄と小さなトランプ札を組み合わせたものが確認できます。
28番と29番には人物が描かれ、現在では質問者本人や重要な人物を表すカードとして使われることがあります。
タロットに比べると、カードに描かれているものは具体的です。
「家」「手紙」「犬」「指輪」「道」「魚」など、日常生活の中でもイメージしやすいモチーフが多く使われています。
このシンプルな36枚を組み合わせることで、さまざまな状況を読み解いていきます。
6.タロットとは何が違う?
タロットとルノルマンは、どちらもカードを使って占いますが、カードの構成も読み方も異なります。
現在一般的なタロットは78枚、ルノルマンカードは36枚です。
タロットでは、一枚のカードの中に描かれた人物や風景、象徴などから多くの意味を読み取ることができます。
ルノルマンでは、一枚のカードだけで完結させるよりも、複数のカードを組み合わせることで意味を作っていく読み方が特徴です。
たとえば「騎士」は知らせや訪問など、「手紙」はメッセージや文書などと関連づけて読まれます。
この2枚が並んだ場合には、それぞれを別々に読むだけでなく、「知らせが届く」「連絡が来る」といったように、カード同士の関係からひとつの意味を組み立てることができます。
タロットとルノルマンは、枚数が違うだけのカード占いではなく、それぞれ異なる読み方を持つ占術です。
7.カードを組み合わせて読む
ルノルマンカードでは、2枚、3枚、5枚など、複数のカードを並べて読む方法があります。
たとえば3枚であれば、カードを左から右へつなげて読んだり、中央のカードを中心に前後のカードとの関係を見たりすることができます。
カード同士を言葉のようにつなげて読む方法も、ルノルマンの特徴のひとつです。
同じカードでも、隣にどのカードがあるかによって意味の出方が変わります。
「犬」の隣に「ハート」があれば友情や信頼と感情のつながりを考えることができますし、「犬」の隣に「蛇」があれば、同じ「犬」でも別の読み方が必要になることがあります。
何枚を使うのか、どこを基準に読むのか、カード同士の距 離をどの程度重視するのかなど、ルノルマンにもさまざまな読み方があります。
8.36枚すべてを並べる「グランタブロー」
ルノルマンには、36枚すべてのカードを一度に並べて読む「グランタブロー(Grand Tableau)」という方法があります。
すべてのカードを並べるため、ひとつの質問だけを見るというより、本人を取り巻く複数のテーマや、それぞれの関係を広く見ていくことができます。
現在よく使われている並べ方には、9枚×4段に並べる方法や、8枚×4段の下に残り4枚を置く方法などがあります。
グランタブローでは、本人を表すカードを基準に周囲のカードを見たり、特定のテーマを表すカードとの位置関係や距離を見たりします。
横や縦、斜めのカードをつなげて読む方法のほか、四隅、ミラーリング、ハウスなど、さまざまな技法も使われています。
ただし、グランタブローには、すべての読者が同じ手順で読むひとつの「公式な方法」があるわけではありません。歴史の中でさまざまな読み方が発展し、現在も流派や読者によって使う技法には違いがあります。
グランタブローでは、36枚の位置やカード同士のつながりから、全体の状況を読み解いていきます。
9.ルノルマンカードで読み解けること
ルノルマンカードでは、仕事、恋愛、人間関係、連絡、移動、選択、今後の流れなど、さまざまなテーマを見ることができます。
「手紙」「家」「指輪」「道」「船」といった具体的なモチーフが多いため、現在の状況や物事の動きを具体的に考えたいときにも使われます。
一方で、カードが未来の出来事を確定するものではありません。
HOCA WORKSでは、ルノルマンカードについても、その時点での状況や可能性を別の角度から眺めるための方法のひとつとして扱います。
タロットとは違ったカードの組み合わせやつながりから、今の状況を見ていくことができます。
10.ルノルマンをリーディングで楽しむ
YouTube「ほととぎタロット」では、タロットとともにルノルマンカードを使ったリーディングも公開しています。
一枚のカードだけを見るのではなく、複数のカードをどのようにつなげ て読んでいくのか。実際のリーディングとしてルノルマンカードをお楽しみください。
→ ほととぎタロット
11.もう少し知りたい方へ
36枚それぞれのカード、カードの組み合わせ、グランタブロー、さまざまな読み方やルノルマンカードの歴史について、コラムで少しずつ紹介していきます。
参考文献・参考資料
本ページのルノルマンカードの歴史に関する記述では、マリー・アンヌ・ルノルマン、19世紀のルノルマン名義の占いカード、「希望のゲーム」などに関する博物館資料・歴史資料を参照しています。
The British Museum, collection records for Marie-Anne-Adélaïde Lenormand and Mlle. Lenormand fortune-telling cards.
The British Museum, Das Spiel der Hofnung / Le Jeu de l'Esperance, collection no. 1896,0501.495.